「ライフシフトと私」― 100年時代を生きる、もう一つのキャリアのかたち #4

第4回:学び直しは「若さ」への投資だった

― 資格取得に挑んだ理由と、その後の変化

50代のある日、私は久しぶりに“受験票”というものを手にしました。
資格試験に挑戦する――その決断は、今思えばかなり思い切ったものでした。

「この年で?」「今さら何になるの?」
そんな声が周囲にあったわけではありません。けれど、実のところ、それは自分自身の中にあった疑念でした。学び直しは若者のもの。年齢を重ねたら、“今ある知識”でなんとかするのが普通だ。どこかでそう思い込んでいたのです。

でも『ライフシフト』に出会い、「人生は100年時代」だと考えたとき、その固定観念が揺らぎました。
「100年のうち、いま私は折り返しを少し過ぎただけじゃないか」
そう気づいたら、残された時間は、まだまだ長く感じられたのです。

試験勉強は、楽ではありませんでした。
仕事を終えた夜、机に向かってテキストを開く日々。目はすぐ疲れ、記憶力もかつてのようにはいきません。それでも、「知らなかったことを知る」「できなかったことが少しできるようになる」――その感覚が、何よりの報酬でした。

驚いたのは、気づけば気持ちが“前を向いて”いたことです。
試験の合格そのものより、そこへ向かうプロセスが、私にエネルギーをくれました。若さとは、年齢ではなく「挑戦する意志」のことかもしれません。

ある日、カフェでテキストを広げていたら、隣にいた若い学生に「資格勉強ですか? 僕もです」と話しかけられました。年齢の違いなんて関係ない、そんな一体感が、なんだか嬉しかったのを覚えています。

学び直しは、自分を“再起動”させる行為です。
新しい知識と、新しい自分に出会えるチャンス。あの一歩がなければ、私は今も、過去の延長線上だけで生きていたかもしれません。

挑戦する気持ちが、人生に若さを取り戻してくれる。
そう信じて、これからも「学び続ける人」でいたいと思います。

次回予告:
第5回では、『ライフシフト』で語られる「変身資産」という考え方をテーマに、自分を変える力とその育て方についてお話しします。

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