「ライフシフトと私」― 100年時代を生きる、もう一つのキャリアのかたち #6
第6回:人とのつながりが、未来を運んでくる
― “ソーシャルキャピタル”がもたらす力
「人脈」というと、かつての私は少し身構えてしまうタイプでした。
名刺を配ることが目的のような交流会や、営業的な関係の築き方に、どこか馴染めなかったのです。
でも『ライフシフト』に出てきた「ソーシャルキャピタル(人的ネットワーク)」という言葉は、それとは違いました。
人とのつながりは、仕事や役割のためだけでなく、自分の可能性を広げ、人生の質を高める“無形資産”だという視点。そこに私は大きなヒントを見出しました。
仕事を離れて肩書きがなくなったとき、改めて実感したのは、「組織」という看板がなくても自分自身としてつながれる関係性の大切さです。
勉強会やボランティア活動、趣味のサークルなどに少しずつ顔を出すようになって、気づけば年齢も立場もまったく違う人たちと、自然に言葉を交わせるようになりました。
印象的だったのは、「〇〇の会社の△△さん」ではなく、「○○さん」として見てもらえること。
そこにあるのは“人と人との関係”だけ。とてもフラットで、心地よい時間でした。
新しい情報や視点が得られるのはもちろん、思いがけないチャンスや、励ましの言葉をもらったこともあります。
人とのつながりは、すぐに「役に立つ」ものではなくても、未来のどこかで静かに自分を支えてくれるものなのかもしれません。
次回予告:
第7回では、"働くことを、もう一度考えてみる"について綴ります。